アロマな香木

今日はアロマの話です。
天皇が即位された記念に
上野の博物館で、記念の特別展示があるようですね。

そこで、
「正倉院の宝物」で思い出したのが、
「蘭奢待」(らんじゃたい)という香木。
天皇の許可がなければ見る事すらできないという
とても貴重な香木。

香木は、削って焚くといい香りがするものですが、
歴史は古く「日本書紀」にも記されているそうです。

その香木は水に沈むことから「沈香」と呼ばれ
珍重されてきたと言います。
(「蘭奢待」と、聖武天皇が命名したそうです)

元は、仏教でお経を唱える時に香を焚き辺りに香らせ邪気を払っていたそうで、
西洋でも同じような意味合いでミサの時に精油を香らせています。

(ミルラやフランキンセンス(精油)は黄金と一緒にキリスト誕生に送られたと聖書にしるされています。)
神聖な儀式に付き物のようですが植物の香りの成分から考えると他にもちゃんとした意味をもつように思われます。
寺院や教会といった人が多く集まる所では感染症予防の意味でも、
植物の持つ、殺菌作用や、抗菌作用も必要としたように思います。
それに、
多くの人が神にすがり、祈りをささげるには
やはり、多くの悩みがあった為でありその心を癒すのにも
(香木にも、精油にも同じように含まれる)
植物が持つ心を安定させる癒しの作用を用いたものではないかと思います。
鎮静や強壮と言った心を和やかに強くする作用を、
感じとっていたのではないでしょうか

話を戻して・・・
香木を仏教で使用した時代から、平安の頃には、
香りその物を楽しむ文化として貴族社会で流行ったようです。
練香として、いくつもの香りを組み合わせオリジナルな香りを調合し、
文や衣や髪に香らせていたそうです。

武士の時代になると香木そのものの香りを楽しみ
(産地の違いによる)香りの違いを比べるようになり「香道」が生まれ、
香道は、香りの組み合わせをあてたり古典や故事などに例えるなど
文学性も精神性も必要とし、武家のたしなみとして広まったそうです。

時の権力者は香木を求め、時には香木をめぐって血が流れたこともあったとか・・・
そして、正倉院に収められた「蘭奢待」ですが、800年以上前から保管され、
これまでに切り取った人は、
足利義政、織田信長、明治天皇の3人と言われています。

沈香の成分が50%を超える香木を伽羅と呼ばれベトナム産は質が良く効果であるようです。
調べたところ、ベトナムは黴が生えやすい環境(ある程度の温度と多湿)の為、
身を守る為に樹液がカビに対抗させるために進化したのではと思われます。
ベトナム特有のカビが香りに影響しているのではと思えるのですが・・・

沈香はジンチョウゲ科の木で、木そのものが香る訳ではなく、
風雨や病気、病害虫により傷がつくことにより
その傷を何とか修復しようと樹液を分泌し、
そして、長い期間に地中で、その樹脂が染み出してたことで、
香りを放つようになるそうですが、詳しいメカニズムはまだ謎のようです。

フランキンセンスも樹液が結晶化してそれを蒸留精製したものが精油になります。
フランキンセンスは鎮痛、沈静、殺菌、抗ウイルスの作用を示します。
沈香も同じく自らを守る為に分泌した成分なので樹脂には殺菌作用を含む成分が含まれると考えられ、
実際、沈香の香り成分を調べるとセスキテルペン系なので、
鎮静、殺菌、抗菌作用を示すようです。高価なため用途としては香りとして珍重されるようですが・・・

この「蘭奢待」正倉院展では14年ぶりの展示という事です。
興味がある方は見に行かれてはいかがでしょうか。
(教科書でもおなじみの)螺鈿で装飾された琵琶も見てみたいですね。

御即位記念特別展「正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー」

会期:2019年10月14日〜11月24日
会場:東京国立博物館 平成館

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