うまくいかない時は、まず・・・

悩みの原因のほとんどが「人間関係」と言います。
その根本にあるものが、実は「親との関係である」とも・・・言います。

人が自分以外の人と一番最初に出会う人が「親」なので、
(中にはそうでない場合もありますが・・・)
どうしてもその人にとっての「他者」とは、という基準になっている。
親との関係が良好で親を信じている人は、そのまま、他人を信じる事が出来るけれど
親との関係が悪く、「他者とは自分を苦しめる人」と認識していれば
他の人に対するときもどこか警戒心を持ってしまう。
もちろん環境や経験により多くを学んで人と触れ合うことで修正される場合もあるし、逆にその経験により人間不信になってしまう事もありますが。

でも、この「親との関係」は物心つく前に深く浸透し、基準として馴染んでいるのでなかなか変えれないと考えられます。
そして当の本人もそんなことにはまったく気づいていない事の方が多く、
「当たり前の感覚」として、そこから人間関係を築いている為
直しようにも原因がつかめないでいます。

本人は意識上はそう思っていなくとも無意識に人と距離をとってしまったり
目線や、態度、発する言葉の端々に無意識に不信感が現れてしまい、
それを受け取る相手側もなんとなく避けてしまうことやトラブルの発端なったり。
人間関係を悪くしている原因になることもあります。

当院に来られる方も、痛みや不調を紐解いていくと
親との関係が見えてくることがあります。
でも、不思議なことに
私から聞かなくとも会話の中でぽつぽつ発してきます。
意識上では解っていなくとも、無意識に気づいているようなのです。
実は原因は本人が充分に解っているように思えます。

その人の記憶の中には、確かにあまりよくない思い出があったにはあったようです
思い出してもつらくて涙の出てくるようなとても辛い記憶のようです。
でも、子供の時なら状況を変えることはなかなか出来なかったかも知れないけれど
今、こうして大人になってどんな人生も選べるようになって、
どんな考えを持つことも出来るようになったのに、
悲しいその気持ちを抱えて、叶わなかった思いをいつまでも引きずっていたら
親に対して怨むような気持ちで、自分を不幸にした人という思いで
出会う人、出会う人にそんな気持ちを重ねてみていたら
きっと周りは冷たい人ばかりに思えてきますよね。

自分の記憶に思い違いがあったかもしれません、
忘れていることがまだまだあるのかもしれません、
もしかしたら、
時代や環境でしたくても出来なかったかもしれないし、
あまり体が丈夫ではなかったかもしれないし
親自身も実はあまり愛情をそそいではもらえずに、子供をどう愛していいかわからなかっただけかもしれません
親だからと言って、みな完ぺきな人間ではないしできない事もあったとも思います。
それは自分も一緒なのではないでしょうか。
今自分が完璧な人生を送っているかと問われれば、そうです私は完璧な人です。と言える人はいないはず。
そんな中でも、愛情を注ぎ、働いてお金を出してくれたかもしれません。
それを育ててもらった側が「親だから当たり前だ」と言う事ができるでしょうか。
我が子の心配をして、先々を思い口うるさく行った事もあると思います。
仕事や子育てに疲れて・・・どん底の中、苦しい余りに、
又は伝え方を間違えてしまい、言ってはならない事も言ったかもしれません・・・
相手の状況や気持ちを理解せずに一生恨み続けていたら悲しいすれ違いですよね。
ほんとうは一番理解し合えるはずなのに。でも何よりも、
そう思う心が自分自身も周りの人も不幸せにしていたら・・・
ダメですよ。自分を幸せにするのは自分です。

すみません何だか説教ぽくなってしまいましたが、
色々想像して相手の気持ちになって考えたり・・・
自分に置き換えてみると・・・色々見えてきませんか
親にも親の人生があって不完全な一人の人間ながら一生懸命生きてきたのではないでしょうか?

親に厳しい目を向けるとその言葉がそのまま自分に返ってきます。
人に言った手前自分に厳しくせざるを得ない。
そして、自分はああではない、ああはならないと。
そういう人は、どこかまじめでピリッとした印象で、変に折り目正しいけれど
自分目線なので相手が見えていないから、どこかズレていて気を使っているようだけれど少し的外れ。
自分に厳しくて、人の失敗にもとても厳しい・・・
親を許せたら・・・別の目線で親を見ることができたら・・・
きっと周りがよく見えて来ると思います。相手の気持ちが分かってきます。
(なろうと頑張っているのではなく自然に)温和なやさしい本当のあなたになれると思います。

そして・・・
あなたが何かをしない理由、
あなたが勇気を持てない理由、
病気になった理由、
立ち直れない理由、
あなたが幸せになれない理由、
にしないでくださいね。
もう、大人です。「親のせい」は通用しません。
もう、人生を選べる歳です。いい訳にしないで下さいね。
あなたはあなたが生きているその世界を変えることが出来ます。

目の前のその人を、
「親」ではなく「一人の人間」として見つめてみてください。
あなたは十分にもう大人なのですから・・・
子供としてではなく、「人間」対「人間」として・・・そう見ることができるはずです。
親が小さく見えたり、どこか期待していた自分が残念に思えたりもするかも知れませんがでもそこから、もう少し相手がどんな気持ちだったのか想像してみて下さい。自分が大人になって考えて下さい。
もしかしたら、もがきながら頑張っていた姿が見えるかもしれない・・・
でもね、本当はそう見ることができると
意外に自分が楽になれるのではないでしょうか?

出産は命がけです。命を与えてくれただけでも、到底お返しできないくらいの事だと思います。
(それに親目線であれば・・・)
子育てを終え、いざ何かをしようとしても気力体力もなく体は変調を迎え
気が付けばこれから何をしようか・・・子育てしかしなかったから「自分には何も残っていない」そう言われる方もいます。
(家族には言わないけれど・・・そんな気持ちを抱え当院に癒しに来られる方もいらっしゃいます)
そんな風に子供の為に時間もお金も、命をかけて生んで自分の人生をすり減らして育ててくれたと、少しでも気づいてくれると世のお父さんお母さん方は報われるのでしょうか・・・
これを読んでくださった方の心が少しでも楽になって、
考え方が少しでも良い方へ変わるきっかけとなって
明日も元気に頑張ろうと思っていただけると幸いです。
親孝行が・・・間に合いますように。
会えない人も気持ちはきっと伝わると思います、
前向きに頑張る姿や、よい事している姿を
どこかできっと誇らしく思ってくれると思います。
それが親孝行になるのではないでしょうか